娑婆・索訶
【しゃば】

syaba
【古代】現世、俗世界の意。[中国語]人世、俗世。this world.
【語源解説】
仏教関連語。梵語、サハーsah={a}の音訳。元来は〈大地〉の意。仏教で、〈われわれの住む世界〉の意となる。〈忍耐する〉意の動詞の語根とみて、〈忍界{にんかい@忍界}・忍土{にんど@忍土}〉などとも訳した。また〈集会〉の意の梵語、サバーsabh={a}と混線して、束縛のない一般的世界、現世と解すようになった。
【用例文】
○この二つの琴の音(ね)せむ所には、娑婆世界なりとも必ずとぶらはむ(宇津保)○東(トウ)方(バウ)ニ旡量旡辺ノ仏土ヲ過テ世界有リ。娑婆世界ト云フ(今昔)○娑婆の縁つきてちからなくしてをはるときにかの土へはまひるべきなり(歎異抄)○娑婆の栄花は夢のゆめ(平家)○娑(シャ)婆(バ)ハ梵語也。此ニハ闕(ケツ)減(ケン)界(カイ)ト曰(イ)フ又堪(カン)忍(ニン)土(ト)ト云也(下学集)○Xaba. シャバ セカイに同じ。世の中、現世/Xabafusagui. シャバフサギ=何の役にも立たず、生きていない方がましであるような人についていう(日葡辞書)○娑婆で見た弥次郎〔知らん顔すること〕かと申したりき(醒睡笑)○神と仏は夜と昼、娑婆と冥途は日光月光いづるもいるも同じ道(近松)○娑(しゃ)婆(ば)(早節用集)○娑婆フサゲ/娑(しゃ)婆(ば)以来mini{久シク別レテ後ニ逢タル時云詞}(諺苑)○犬骨折て鷹にとられたは娑(しゃ)婆(ば)での事よ/娑婆塞(ふさげ)と呼ばれたる(浮世床)○しゃばで乗る蓮の台は大井川(川柳)○シャバ 娑婆 シャバフサギ=無用のもの。同義語 セカイ(ヘボン)○久し振で娑婆の空気を呼吸した時の心(こころ)地(もち)(島崎藤村)

![]() | 東京書籍 「語源海」 JLogosID : 8537634 |