三味線・三絃
【しゃみせん】

syamisen
【近代】略して〈三(しゃ)味(み)〉とも。約60センチの棹と胴と三本の絃とからなる邦楽用の楽器。撥(ばち)で絃をかきならして浄瑠璃や俗謡の伴奏に用いた。サンゲン{サンゲン}とも。〈三味線、三絃、三線〉などとあてた。[中国語]三絃。three-stringed musical instrument.
【語源解説】
語源解釈は二つ。一つは三本の絃からなるので、三(サン)san+線(セン)sen→sanisen→samisenサミセン→シャミセンと変化したという説。もう一つは本源の〈蛇(ジャ)皮(ビ)線(セン){じゃびせん@蛇(ジャ)皮(ビ)線(セン)}〉が訛ってシャミセン。古い用例からいくと、後者が妥当する。のち、表記〈三線〉にも影響されて、サミセン、シャミセンとよんだ。言い伝えでは永禄年中(1558~70)、琉球より伝えられ、蛇皮を胴に用い、二絃で〈蛇(ジャ)皮(ビ)線(セン)〉といった。これを泉州堺の琵琶法師にさずけたが、霊夢により三絃とした。これで弾くと無尽の色(いろ)音(ね)が出たといい、これから〈三絃〉としたという。その後、大坂、江戸と広がった。いずれにせよ、16世紀には用いられた。
【用例文】
○つれてんてん、てれてれてん。それは何ぢゃ。まづ三味線〔シャミセンとよむか〕の心持ぢゃ(mini{和泉流}狂言)○Xamixen. シャミセン 三絃のヴィオラviolaの一種(日葡辞書)○たはふれ男紗(しゃ)微(み)線(せん)をひき……一しゅのしゃみせんをつかはし(醒睡笑)○さみせんのさほの河べの糸柳ね〔音と根〕をあらはして浪ぞよせひく〔弾と引〕(吾吟我集)○三(さ)尾(み)線(せん)(毛吹草)○琴三味のしらべ、どふもいはれぬわざ(好色訓蒙図彙)○清水の西門(さいもん)にて三(さ)味(み)線(せん)ひきてうたひける/侍(さむらい)の三(しゃ)味(み)線(せん)町人の兵(ひょう)法(ほう)……是皆よしなし(西鶴)○琵琶行の夜や三味線の音霰(芭蕉)○三線(サンセン)、三絃並ニ仝ジ○永禄年中琉球自リ始テ和州堺ノ津ニ来ル者(書言字考)○琵琶法師中小路が手につたへ、長谷の観音の霊夢によりて一絃のまし三絃とせしを世に三味線〔シャミセンとよむか〕と呼て(松の葉)○三線(さみせん) 三絃、按ニ絃(イト)三ツ故ニ三線ト名ク(和漢)○三(さ)味(み)線(せん)(早節用集)○これこれ三味線をひかずと。こゝへは入てね給へ(洒落本)○三絃(シャミセン)mini{サミセン}/三絃子(サミセン)、三線子(雑字類編)○寝てててんつるの口三絃(くちざみせん)〔口まねの三味線〕(浮世風呂)○三絃(さみせん)、三弦(さみせん)/三絃弾(さみせんひき)/三弦(しゃみせん)(浮世床)○三(さ)味(み)線(せん)の権輿(はじめ) 三味線の濫(らん)觴(しゃう)〔はじまり〕も諸説異(ゐ)同(どう)ありてさだかならず(声曲類纂)○じゃみせんでちんぷんかんの唐一座/三味線のあいの手に取ちりれんげ(川柳)○三(さ)味(み)線(せん)に合せまして少しおどります(滑稽本)○座(ざ)敷(しき)へでもでて三(さみ)絃(せん)なしにうき世(よ)ばなし/男芸者(たいこ)衆(しゅ)にこのまれて三味(さみ)せんをひいてやった(安愚楽鍋)○サミセン 三弦 guitar of three strings./シャミセン サミセンとおなじ(ヘボン)○良人(つま)なき後の世渡りは昔し覚えの三味(さみ)も流石(さすが)(樋口一葉)○さみせん{三味線}〔三線の転音〕モト琉球ノ蛇皮線カラ転ジタモノ。三絃。シャミ。サムセン。シャミセン。シャムセン。ペン。ペンシャン。ペンペン(日本大辞書)
【補説】
西鶴作品では、〈三(しゃ)味(み)線(せん)、三絃(しゃみせん)、三(さ)味(み)線(せん)〉の二とおりの表記と二種の訓(よ)みがあり、〈三(しゃ)味(み)線(せん)〉が多くみえる。その他、用例が他の作家にもみえ、ゆれをみる。これは幕末、明治初期までつづく。したがって、シャミセン→サミセン→シャミセンという展開で、現代語は発生どおり、シャミセンで落ち着く。なお慣用句〈しゃみせんをひく{しゃみせんをひく}〉は本心を行為がカムフラージュしたさま。むだ口をたたく場合とただ素振りを示すだけと二とおりがみられる。なお、江戸では、三味線に猫の皮を用いているところから、俗称をネコ{ネコ}とよび、さらに、三味線を主要な道具とする芸者をもネコと俗称。

![]() | 東京書籍 「語源海」 JLogosID : 8537637 |




