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接吻
【せっぷん】


seppun

【江戸時代】〈キッス、口づけ{くちづけ@口づけ}〉とも。愛情や敬意をあらわすため互に唇をふれあうこと。日本と西洋ではその意味が根本的に異なる。[中国語]接吻、親嘴。kiss.

【語源解説】
オランダ語、キュスkusの訳語。近世中国の俗語、〈接吻〉(聊(りょう)斎(さい)志異(しい)、1679年成)を借用。他に同じ中国語の〈親(シン)嘴(シ)〉も借用した。古代からの日本語、〈口(くち)吸(す)ひ{くちすひ@口(くち)吸(す)ひ}〉とは別に、19世紀初、新しいオランダヨーロッパ)の礼儀作法の一つとして、オランダ語のkus、kussenが長崎通詞により訳された。したがって、日本語〈口吸ひ〉をさけて、中国語、〈接吻〉を借用。はじめは長崎方言、アマクチをあて〈接(アマ)吻(クチ)〉などとみえる。

【用例文】
○口(クチ)子(スフ)ヲ得ム(遊仙窟)○ドウ一(ちょ)寸(っと)口を吸(すは)せてくんねエ(洒落本)○k'{u}s. 握手吸(くち)口(すい)ノ礼/k'{u}ssen. 口ヲ吸ヒ手ヲ握ル(波留麻和解)○Kus, zoen. 接(あま)吻(くち)/kusje, zoentje. 接吻 子供に対する接吻を云ふ/Iemand een zoen geven. 人と接吻する/彼は彼(かの)女(おんな)と接吻した(ドゥーフ・ハルマ)○kiss. 相(クチ)呂(スフ)(諳厄利亜語林大成)○接吻(クチヲスフ)(雅俗幼学新書)○Kiss. 接(セツ)吻(プン)/kiss-ed-ing. 接(セツ)吻(プン)スル(薩摩辞書)○接吻(キッス)(聖書、明治8年)○接吻(新約聖書馬太伝、明治11年)○セップン 接吻 kiss. セップンスル(ヘボン)○kiss. 啜(スヽ)ル、親(クチ)嘴(ヲス)フ、接(セッ)吻(プン)スル、愛護スル/kiss. 接吻mini{礼}(和訳字彙)○〈接吻(キッス)〉(尾崎紅葉)○第二の接吻(菊池寛)○ロメオと鳥の声を聴きながら接吻(キッス)するところがございましょう(永井荷風)○彼の妻は最初の接吻を迫るように(横光利一)○接吻なる言葉が出現するのも意外に古く、文化十三年〔1816〕に刊行〔誤り、成立〕された蘭日辞書(朝日新聞)
【補説】
クチスイ、クチツケ(のち、クチヅケ)、接吻、キッス、ベーゼ(baiser, フランス語)、親(シン)嘴(シ)など。セップンの同義語はさまざま。〈接(セッ)吻(プン)〉の明確な語例は明治2年(1869)刊のいわゆる『薩摩辞書』。なお、〈クチヅケ〉は、ヘボン『wari{和英}{英和}語林集成』に、〈kuchitsuke. クチツケ 接吻、kiss.〉とあるように、クチツケと清音、のちクチヅケと濁る。なお、表記は〈接吻、相呂、吸口、口通、親嘴〉など。




東京書籍
「語源海」
JLogosID : 8537709