土筆・筆頭菜
【つくし】

tukusi
【近代】古形、〈つくづくし{つくづくし}〉。春のはじめ、スギナの地下茎から生ずる茎。筆の形をしている。食菜とする。[中国語]筆頭菜。horse-tail〔馬の尾〕.
【語源解説】
古形のツクヅクシのとおり、地面から、地上へぐんと突き出ているさまに対して、突ク突ク状態のものとして、ツクを重ねた言い方からの命名。のちツクシと略称する。方言には他に異称がみられる。
【用例文】
○蕨(わらび)、つくづくしをかしき篭(こ)に入れて、これはわらはべの、くやうし侍るはつをなりとて奉れり(源氏)○片山の賤(しづ)がこみちに生ひにけりすぎなまじりのつくづくしかな(蔵玉集)○つくづくしはつく如此異名を被付(海人藻芥)○佐保(さほ)姫(ひめ)の筆かとぞみるつくづくし雪かき分る春のけしきは〔を〕/筆つ花(藻塩草)○土筆(ツクツクシ)(下学集)○二月取て食、野菜菜園之事 一、薺(ナヅナ)、一、土筆(清良記)○土筆(ツクヅクシ)(雑字類書)○土筆(つくづくし)、天花菜(つくづくし)(落葉集)○Tc{c}ucuzzucuxi. ツクヅクシ 二月に生じる日本の筆(ペン)の形に似た草(日葡辞書)○天花菜(ツクヅクシ)、土筆(同)(易節用集)○土筆(ツクツクシ)(類聚往来)○土筆(ツクツクシ)、袴、筆、杉(類船集)○宵の雨しるや土筆(つくし)の長みじか(芭蕉)○すごすごと摘(つむ)やつまずや土筆(つくづくし)(其角)○土筆ハ国俗所名也、春初ヨリ其花先ッ生ズ、茎立テ笛ノ生ズルガ如シ、其鋒如筆形、是其花ナリ(中略)花茎ヲ煮食ス、味美(ヨシ)(大和本草)○天花菜(ツクヅクシ)、土筆(同)/天花菜(フデツバナ)又云フ土筆(書言字考)○筆頭菜(つくづくし) 俗ニ云フ土筆mini{豆久豆久之(ツクツクシ)}(和漢)○土筆(つくづくし) 其形筆に似て、正二月に生ず。杉菜といふ物の花也。和俗に天花菜と示ふ。出処しれず。杉(すぎ)菜(な)は馬このんでくらふ(花譜)○筆頭菜(つくづくし)(早節用集)○土筆 つくつくし 東国にて○ つくしともいふこれ略語なり 作州〔岡山県津山〕にて○ ほうしといふ(物類称呼)○筆頭菜(ツクヅクシ)mini{フデツハナ、ツクシ}/接続草(スギナ)(俳題正名)○筆頭菜 フデツグサmini{古歌}、フデツバナmini{同上}、ツクヅクシmini{今}、ツクシmini{東国}、ホウシコmini{予州}、ホウシmini{雲州}、ツクツクボウシmini{和州}、ホシコmini{讃州}(本草)○土筆の天窓(あたま)延び過ぎてふけが出来(川柳)○ツクシ species of horse-tail, Equisetum arvense./ツクツクシ、ツクシと同じ(ヘボン)
【補説】
19世紀まで、古形、ツクヅクシも用いたようである。略称のツクシは東国での言い方が時間的に早いか。女ことばのツクと関係するか。用字の〈土筆(ドヒツ)〉は中国人が土の筆と見たてての命名。鉛筆や万年筆、毛筆などでなくとも語は転用されるものである。

![]() | 東京書籍 「語源海」 JLogosID : 8537806 |




