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手薬煉引く
【てぐすねひく】


tegusune hiku

【近代】十分に準備のうえ、相手の来るのを待ち構えること。[中国語]作好準備、摩拳擦掌。eagerly watch for.

【語源解説】
テグスネは手薬煉とあてるが、手にひくクスネのこと。クスネ{クスネ}とは松脂(まつやに)に油をまぜてよく煉り、弓の弦(つる)や握りの部分などにぬる補強剤(すべり止め)の一種。したがって、手にテグスネヒクとはそうした用意万端ととのえたさまの譬喩。江戸の随筆『海録』(山崎美成)に、〈手ぐすね引と云俗語、弓の握のすべらざるを欲して、薬煉(くすね)と云へるものを手のゆがけ〔手袋の一種〕につくる〉と解説、武士が合戦に臨む前に、おこなうわけである。ただし実際はクスネに代わってツバなどを用いている。なお、〈くすねる(ごまかして盗む)〉は、薬(くす)煉(ね)を動詞化した語。

【用例文】
○こゝを射(い)よと鞭(むち)のさきにて打(うち)叩(たゝい)て御(ご)前(ぜん)の雑(ざふ)人(にん)をのけられ候へとて手ぐすね引〔手にツバをつけて、弓をもち〕そゞろ引(ひい)てぞ向(むかひ)たる(保元)○Tegusune. テグスネ 人が相撲をとろうとするときなど、両手に口の唾をつけてすりあわせること。テグスネヒク 両手に唾をつけるとか、指を口中に入れるとかして濡らして上述のように両手をすりあわせる(日葡辞書)○三人が手ぐすね引いたる顔色、小菊〔人名〕遠目にはっと驚き/手ぐすねひき女房しっかと引っとらへ(近松)○手クスネヲ引(諺苑)○みなみな手ぐすねひいてきやつをいけどりにせんと(滑稽本)○樽(たる)ひろいくすねはじめは土へうめ(川柳)○うまい物のくすねぐひ〔盗み喰〕をする(浮世風呂)○紳士の憎き面(つら)の皮(かは)を引剥(は)がんと手(て)薬(ぐす)煉(ね)引(ひ)いて待ちかけたり(尾崎紅葉)○てぐすね・ひク(一)手ニ唾シテ弓ヲ取ル(二)用意シテ敵ヲ待ツ(日本大辞書)○登山客誘致へ手ぐすね引(新聞)
【補説】
プロ野球の投手が用いるロジン・バッグ{ろじんばっぐ@ロジン・バッグ}(rosin bag)のロジンがテグスネ、原義は松脂(まつやに)のこと。




東京書籍
「語源海」
JLogosID : 8537829