嚢撲・袋叩
【ふくろだたき】

hukuro dataki
【江戸時代】一人また少数の人を、大勢がとりまき寄ってたかって、めちゃめちゃにたたくこと。[中国語]群殴。drubbing.
【語源解説】
由緒ある中国古典語。『日本大辞書』(明治25年)に、〈ふくろ・たたき{袋叩き}袋ニ入レテ上カラ撲(ウ)チ叩イテ殺スコト、又、其ヤウニ打ツコト(人ヲ)。=嚢撲〉とあるように、フクロタタキと清音(昭和前半まで)から現代ではフクロダタキと濁音化した。根源は中国古典『史(シ)記(キ)』(BC.145~BC.86)、あるいは『説(ゼイ)苑(エン)』(BC.77~BC.6)にみえる。大田方(全斎)『諺苑』(寛政9年・1797)に〈嚢(フクロ)撲(タタキ)……史記云、秦王政、二弟ヲ嚢撲ス……東国ニテ俗語ニ云〉とあって、現代語は江戸(の学者)が発信源と考えられる。
【補説】
古語辞典などにみえないが、『史記』は紫式部なども愛読していたようなので、古代ですでに用いていたかもしれない。

![]() | 東京書籍 「語源海」 JLogosID : 8538028 |