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珍しい・奇しい
【めずらしい】


mezurasii

【古代】1)めったになく、まれなこと、もの。2)貴重である。3)珍奇である。[中国語]罕有、珍奇。rare, curious.

【語源解説】
古語、〈賞(め)ずる{めずる@賞ずる}〉と同根語。〈目(メ)+連(ツラ)ヌ〉の意で、じっと見つづけるが原義。この形容詞形がメヅラシ。意味も、見つづけるほど魅力あるもの、したがって、それに価するほど価値ある→まれなもの、めずらしいの意になる。こうして、一方で〈賞づる〉、一方で〈珍(め)づらし〉と意味が分化。形容詞形が、珍、稀の意をもつようになる。

【用例文】
○常に見れどもめづらしわが君(万)○五月雨(さみだれ)の空めづらしく晴れたる雲間/めづらしき御事〔出産〕平らかなりときこしめして(源氏)○珍しきが花ぞと皆人知る(風姿花伝)○珎(メヅラシ)(運歩色葉集)○Mezzuraxij. メヅラシイ 目新しくて快い/メヅラカナ、すなわちメヅラシイ、快くて、目新しい、また稀(まれ)な(もの)、文書語(日葡辞書)○珍(メツラ)敷(シク)(易節用集)○羽二重大根殊mini{ニ}珍敷賞翫可仕候(芭蕉)○芦(あし)の青葉の風も住なれし浦のめづらしからず/珎敷(めづらしき)(西鶴)○たまたまあひたるうれしさめづらしさ、いはんかたなし(好色袖鑑)○珍(めづらし)(早節用集)○殊に江戸の肥(こへ)た腹に何か珍しとおもふべき(当世下手談義)○奇(メヅラシキ)話(ハナシ)、異(メヅラシキ)人(ヒト)(雑字類編)○珍らしい内は夫婦も魚と水/珍らしさ閏三月ほとゝぎす(川柳)○〔巫女(いちつこ)は〕夏あるくもんだに霜枯(しもがれ)には珍(めづ)らしいの/ハテおつな事があるの……日本(にっぽん)には奇(めづら)しい(浮世床)○今(こ)宵(よひ)のおほせハテめづらしい(安愚楽鍋)○メツラシイ 珍敷 メツラシイミセモノ、メヅラシイハナシ(ヘボン)○社長や重役から珍しい才物だと云はれてゐる(永井荷風)
【補説】
古代では、珍・賞(愛)と二つの意味を内包、次第に分けて用いるようになり、16世紀ごろは、かなり両者は明確に分けられた。




東京書籍
「語源海」
JLogosID : 8538172