蕨[九州地方] 角川日本地名大辞典

五島列島久賀島の北東部に位置し，奈留瀬戸に面する。白岳・福見岳などの山に囲まれているが，耕地も多い。地名の由来は，江戸期の藩主巡視に藁に火をつけて迎えたためとも，ワラビが多生するためともいう（久賀島村郷土誌）。首長地蔵にまつわる伝説がある。すなわち，かつて当地の北方60kmの海上に高麗(こうらい)島があって信仰の篤かったある島民の夢枕に島の祭神であった地蔵が立ち，わが顔が変われば一大事が起こるであろうと告げたが，やがて悪い者が地蔵の顔に赤土を塗るとこの島が陥没してしまったという。この時の地蔵が当地に持ってこられたと伝える。
【蕨村(近世)】　江戸期の村名。
【蕨郷(近代)】　年不詳〜昭和32年の行政区名。
【蕨町(近世)】　昭和32年〜現在の福江市の町名。