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限定責任信託
【げんていせきにんしんたく】


Limited Liability Trust

限定責任信託とは、受託者が当該信託のすべての信託財産責任負担債務(受託者による信託事務処理によって生じた債務をいう)について信託財産に属する財産のみをもってその履行の責任を負う信託をいう(信託法第2条第12項)。信託において、信託財産責任負担債務の債権者は、信託財産からその支弁を受けることができるほか、当該債務の帰属主体はあくまでも受託者であるため、受託者の固有財産からも弁済を受けることができるのが原則である。しかし、かかる原則が常に維持されるとすると、新規事業、ベンチャー事業、資産の流動化事業など、信託を利用する必要性が高いが、リスクを伴う事業において、信託スキームの利用が制限されてしまうこととなる。このような場面においても信託の利用を促進するべく、信託で行う事業等のリスクから受託者を開放することを目的として、平成19年に施行された信託法によって新しく導入された制度が限定責任信託である。
限定責任信託においては、信託財産責任負担債務の責任財産は、定型的に信託財産に限定され、信託財産責任負担債務に係る債権の債権者は、受託者の固有財産に対して強制執行等を行うことはできないことになる。上記のような限定責任信託の特徴は、会社法において、会社の債権者が、会社の固有財産しか引き当てにすることができない点と類似しており、両者は類似した制度と考えられている。限定責任信託制度は、信託の原則に反し、信託財産責任負担債務に係る債権の効力を制限するものであるから、限定責任信託に関与する債権者を保護する必要がある。そこで、限定責任信託の利用に関し、信託法は、限定責任信託であることの登記をすべきこと、信託の名称中に限定責任信託という文字を使用すること、取引の相手方に対して限定責任信託である旨表示しなければならないことなどを定めている。これらの規制は、会社法における債権者保護のための規定と似通ったものとなっている。




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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