セキュリティトラスト
【せきゅりてぃとらすと】

Security Trust

担保権を信託財産とする信託をいう。具体的には、債務者または保証人・物上保証人が債権者に対して担保権を設定する代わりに、債権者ではない受託者に対して担保権を信託設定する場合の信託や、債務者または保証人・物上保証人が債権者に対して設定した担保権を債権者が受託者に対して信託設定する場合の信託などがある。このような信託が可能であることは、平成19年に改正施行された新信託法に明文の規定が置かれたことによって明らかとなった。例えば、債権者に対して自社の土地に抵当権を設定する代わりに、信託会社に対して当該土地につき、以後、債権者のために管理・処分することを内容とする信託契約を締結して信託譲渡することで、信託の担保的機能が発揮されることとなる。特に、シンジケートローンにおいて担保権付の被担保債権を管理・譲渡する際の手間や費用を省くことができるスキームとして期待されている。なお、外国為替証拠金取引を扱う業者（以下「FX業者等」という）が顧客から預託を受けた金銭等を信託会社または信託銀行に対して信託することで自己の資産と顧客の預託資産の分別管理を実現し、FX業者等の破たんリスクを回避させるための制度もセキュリティトラストと呼ばれることがあるが、これは担保権を信託財産とするものではなく、上記のセキュリティトラストとはまったく別の制度である。

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日経BP社 「日経ビジネス　経済・経営用語辞典」 JLogosID : 8518254