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匿名組合
【とくめいくみあい】


Anonymous Partnership

当事者の一方(匿名組合員)が相手方(営業者)のために出資し、営業者がその営業から生ずる利益を分配することを約束する契約(商法第535条)を締結することにより成立する組合をいう。出資された全財産は営業者に帰属し、その経営は、営業者の単独事業となり、外部に対しては営業者だけが権利義務の主体として現われる。匿名組合員は事業から得られる利益の分配や、出資額の返還を請求する権利を持つにとどまり、責任についても出資額を限度とする有限責任しか負わない。これらの点で、民法上の任意組合(民法第667条)においては、組合財産が総組合員の共有に属し(同法第668条)、各任意組合員は単独で組合財産を処分できず、各組合員が無限責任を負うのと異なる。不動産証券化においては、不動産等を信託して取得した信託受益権を投資家(匿名組合員)の出資対象として、合同会社、特例有限会社や株式会社等の特別目的会社(営業者)との間で締結される匿名組合契約が多く用いられる。匿名組合自体は原則として、税務通達上人格のない社団には含まれないため、法人として課税を受けることはなく、匿名組合の損益は営業者の損益となって課税されることになる。さらに、営業者において匿名組合契約により匿名組合員に分配すべき利益の額または負担させるべき損失の額は損金の額または益金の額に算入される。したがって、匿名組合契約に基づく事業から生じた利益に対してはヴィークル段階では課税されず、匿名組合員が利益の分配を受けた段階で課税がなされ、パススルー性が確保される。




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「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」
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