保全処分
【ほぜんしょぶん】
Temporary Restraining Order
保全処分とは、法的倒産手続の申立て後開始決定までの間、裁判所が利害関係人の申立てまたは職権によって、倒産債務者財産の散逸、滅失を防ぐ目的で命じる、仮差押、仮処分その他の暫定的な財産保全措置のことをいう(破産法第24条、第25条、第28条等、民事再生法第26条、第27条、第30条等、会社更生法第24条、第25条、第28条等)。裁判所による法的倒産手続の開始決定があれば、以後その効果として、債権者による個別的権利行使が禁止され、債務者による財産処分や弁済も基本的に禁止される効果が生じるが、法的倒産手続の申立て後開始決定までの間は、これらの行為は禁止されていない。しかし、かかる権利行使や財産処分等を自由に認めた場合、法的倒産手続の申立てがされたことを知った債権者が、我先にと開始決定前に債務者に履行を迫り、弁済を受けたり商品を引き揚げたりし、または債務者が財産を隠匿したり処分したりして、本来倒産債務者財産として債権者間の平等を図るべく管理等されるべき財産が散逸、滅失してしまう。保全処分は、これを防ぐための制度である。具体的には、債務者の財産に対して既になされている強制執行等の個別的権利行使に対する中止命令や、すべての債権者に対する強制執行等の包括的禁止命令、債権者への弁済や債務者の財産の処分、担保提供等を禁止する仮処分等がある。
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| 日経BP社 「日経ビジネス 経済・経営用語辞典」 JLogosID : 8518343 |