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冬至
【東京雑学研究会編】


§冬至にかぼちゃを食べるのはなぜ?

一年のうち、太陽が天球の最も南に位置する日が、毎年一二月二二日頃にめぐってくる。
冬至である。日本のように北半球にある国では、この日の昼の長さが一年中でいちばん短い。
いよいよ冬本番というこの日に、かぼちゃを食べると体にいいと言われているが、何か根拠はあるのだろうか?
冬至にかぼちゃを食べる習慣は、江戸時代に広がった。この日に食べると、その冬は風邪をひかない、中風にならないなどの言い伝えがある。かぼちゃは、ビタミンAをはじめ、栄養価の高い食品であるから、これから訪れる長い冬にそなえて食べておくという生活の知恵である。
かぼちゃを収穫するのは夏だが、丸ごと置いておけば、冬至の頃まで保管できる。冬至用のかぼちゃを保管しておく場所をわざわざ定めている地方もあり、冬至にかぼちゃを食べることは一つの儀式となっている。人間が食べることが、すなわち神への供え物でもあったことをうかがわせる。
また、「かぼちゃは冬至過ぎに食べるものではない」「年を越させると腐る」などの言い伝えが残っている地方もあり、これは、味のいいうちに食べよという戒めであろう。
ほかにも、冬至の日には、ゆず湯に入ると風邪をひかない、小豆がゆを食べると疫病にかからないなどの言い伝えがある。いずれも、体を温めて栄養をとるようにという、先人の健康法である。
冬至の頃は、気温が下がるだけではなく、太陽の力が衰え、植物の成長も止まっているかのように見える。これは、古代の人々にとっては、生命の危機に直結することであり、世界の各地に、春の訪れや太陽の復活を願う祭りや風習が残っており、日本でも旧暦の一一月二三日の夜から二四日にかけて、「大師講」が営まれる。大師とは、弘法大師であるという地方と、聖徳太子であるという地方があるが、小豆がゆや団子を供えて、これを食べる行事である。
太陽の恵みである野菜や果物を食べることに、呪術的な意味が込められていると考えられる。




東京書籍
「雑学大全」
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