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歌舞伎界を「梨園」というのはなぜ?


二〇〇三年は歌舞伎生誕四〇〇年。現代社会ではとかく伝統芸能と重々しくとらえられがちですが、若手俳優がNHKの大河ドラマの主役を演じたりして、若い女性ファンの人気もつかんでいます。女優や女性アナなど芸能界でも人気の高い人が、歌舞伎役者の恋愛や結婚のお相手としてワイドショーや週刊誌を騒がせることも珍しくありません。そんなとき使われるのが「梨園(りえん)」という言葉。結婚するときには「梨園に入る」などと表現されることが多いようです。でも、この言葉の由来は、一体なんなのでしょうか。
「梨園」は中国の古い故事が語源。唐の玄宗皇帝は梨の木の植えてある庭園で、自ら子弟たちに楽曲や演技の指導をしていました。また、そのための専門の養成所もあったそうです。ここで修業できるのは、特に才能に優れた弟子三〇〇人と決められていたといいます。ですから、「梨園」とは、本来は演技や音楽を練習する場所という意味。この故事が転じて日本の演劇界、特に歌舞伎社会を総称するようになったというわけです。




角川学芸出版
「話を盛りあげる究極の雑学」
JLogosID : 5180170