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冬越
【ふゆごえ】


佐世保市と北松浦郡世知原(せちばる)町を結ぶ峠。佐々川と相浦川の上流域を南北につなぐ。この付近になると北松浦半島の溶岩台地は比較的高く,標高409mである。世知原町は本県でも雲仙に次ぐ高冷の町である。北松浦半島縦断のバス道路が通り,佐世保市相浦川流域より冬越を越えて世知原町に達し,さらに椋呂路峠を越えて志佐川流域に達し,松浦市に行く。しかし西方の標高322mの江里峠経由,標高262mの福井峠経由縦断バス道路よりすると冬越は,地形上も気象上もいく分不利な条件となる。地名の由来は,土地の人のいうフイゴシ(吹越)からきたものか。冬の季節風を真正面に受け,旅人の風や雪による難渋が思い出される。吹越が冬越に転じたのであろう。春から夏にかけては南の風が吹き抜ける。峠の南北斜面には猪見岳・猪喰・神山・山口などの狩猟に関する地名が多い。また,猪止め願成就という古くからの年中行事が行われている。山口は深山の入口で,ここで山の神に身の安全を祈ったのであろう。冬越の南斜面に元触という地名があるが,「触」は平戸藩特有の地名で特に壱岐に多く,村の頭が平戸藩の藩命を触れ歩く意味に由来するという。また朝鮮語で火・村の意味であるともいう。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7222712