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人類はアフリカから世界中に広がっていった


◎人類の母・ルーシー

 46億年前に誕生した地球に、最初の生命が現れたのは30数億年前。その後、多くの生命が地表をにぎわすことになるが、人類はいつごろ登場してきたのだろうか。

 現在、最も古いとされるヒトの祖先は、1979年にエチオピア北部で発見され「ルーシー」と名づけられた化石人骨の仲間のアファール猿人で、約400万年前のものだという(調査隊が好んで歌ったビートルズの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウイズ・ダイヤモンズ」にちなんで、最も整って出土した女性骨に命名)。

 地球の乾燥化が進むなか、森から草原に出た身長120センチ前後の彼らは、立ち上がって2本足で歩き、自由になった前足(手)を使って簡単な道具(礫[れき]石器)をつくった。現在の人類は、アフリカに出現したこのグループ(アウストラロピテクス類)が世界各地に広がったという説が有力である。

◎身体のなかにある400万年の歴史

 その後、道具と火を使うようになったヒトは、環境に対する適応能力を飛躍的に増し、活動範囲を広げていく。そうしたなかで、人類は脳容積を3倍(500cc→1500cc)に増加させ、複雑な言葉と社会をつくり、地球上のすみずみに棲息地域を広げていった。

 ヒトの身体は、その進化の歴史を表している。たとえば、手の親指がほかの指に対してほぼ直角についている「親指の対向性」が複雑な道具の製作・使用を可能にし、奥が開いた歯列が複雑な発音を可能にした。長い長い歳月をかけて獲得した、こうした身体の変化がヒトをつくり出したのである。

 そして、最後の氷河期の最中だった約4万年前から現在にかけて、ホモ・サピエンス(知恵のある人)という学名をもつ「ヒト」が、さまざまな人種に分かれながら地球全体に広がっていった。

◎現代人はすべてイブの子?

 人類はまずアフリカに出現し、各地で進化をとげて、多数のホモ・サピエンスとなったとする説がこれまでは一般的であった。だが、1987年にハワイ大学のR・キャンが多数の人類の細胞からミトコンドリアDNAを取り出して調べた結果、20万年前にアフリカにいた1人の女性(イブと命名)がすべてのホモ・サピエンスの共通の母であるとする仮説を出した。ヒトのルーツ探しは、急速に具体化している。




日本実業出版社
「早わかり世界史」
JLogosID : 8539700