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拡大EU


 EUは、2004年5月1日に10カ国の新加盟国(チェコハンガリーポーランドバルト3国、スロバキアスロベニアマルタキプロス)を迎えた。東西の隔たりを超え、4億6000万を超える人口と日本の約2倍、米国に比肩する国内総生産13兆2900億ドル(05年、米国は12兆4550億ドル)の経済力を擁する拡大EUは、世界市場において大きな存在となる。北への第1次拡大(1973年、イギリスデンマークアイルランド)、南への第2次・3次拡大(85、86年、ギリシャスペインポルトガル)、中立国への第4次拡大(95年、オーストリアフィンランドスウェーデン)に続く、04年の第5次拡大の特徴は、それが旧社会主義圏の中・東欧に及ぶことである。旧社会主義の国々にとってEU加盟の目的は、市場経済の導入を通して自国経済の活性化を図ることであるが、深刻な雇用情勢と、それに伴う東欧諸国からの大量の移民の流入や多額の開発補助金など、経済社会格差や慣習の違いのあるこれら諸国への拡大は、EUにとって「お荷物」にもなりかねない。拡大によって雇用・安全が脅かされるとの警戒感が独仏などの加盟国で強い。06年5月には組織犯罪、汚職、資金洗浄の摘発強化のための司法改革や補助金管理体制の確立がブルガリアルーマニアに提案された(この2国の加盟は08年とみられている)。しかし、その後クロアチアマケドニアトルコの加盟時期についてはめどが立っていない。




朝日新聞社
「知恵蔵2009」
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