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所有者不明土地
【しょゆうしゃふめいとち】


 永年相続登記不動産の名義変更)が行われずに、登記簿上で所有者が辿れない、または所有者が分かっても亡くなっているなどして連絡を取ることができない土地のこと。
 その土地の総面積は2016年時点で九州の広さを超える約410万ヘクタールに上るという推計が、2017年6月当時の総務相ら有識者でつくる「所有者不明土地問題研究会」より発表された。2040年には約720万ヘクタールに達する可能性もあるという。また公共事業が停滞したり土地が荒廃したりするなどの経済損失額が16年は約1800億円との試算も発表した。

【問題】
所有者がわからない土地の問題は、東日本大震災の復興時に顕在化した。原発事故に伴う除染廃棄物を保管する福島県中間貯蔵施設予定地で、地権者約2400人の半数の行方が分からず、国による土地収用で確保できた用地は約4割。所有者不明者は住宅などの高台移転も円滑に進まず、復興の足かせとなっている。他にも山間部などで台風によるがけ崩れを復旧したくとも、山の所有者が分からず工事が進まないなど災害復旧が滞るケースや、山間部だけでなく道路整備などの公共事業、廃墟となり放置されている空き家の処分など各所で見られる問題となっている。

【なぜ発生するか】
不動産の権利登記は、相続した時点で理論上の名義は相続内容に沿って変更はされているが、実際に書き換える義務がないため、親の土地を相続する際等、手間と費用をかけて登記をしなくてもすぐに不利益が生じることはないといった現状があり、実際に売却や住宅ローンを組む際など必要が生じたときに行われることが多い。特に所有者が亡くなった後、登記を更新しないままでいるうちに、所有権をもつ相続人が子、孫と代々増えていき、そのまま数十年経過した後、全体像を把握することができなくなってしまうということが起きる。不動産の売買には全員の同意を得る必要があるため、一部の権利者が判明しただけでは取引ができず放置せざるを得なくなることも影響している。代々続く土地の場合権利者が数十人になる場合も珍しくなく、実際に全ての相続人を見つける事が不可能になる場合もある。

【解決にむけて】
国土交通省は2017年12月、所有者が分からないまま放置されている土地の活用を可能にする対応方針を決めた。公共事業を行う場合に、都道府県知事の裁定で所有者不明土地の場合でも「利用権」を設定し利用できるようにする。期間は5年程度を設定し、その間に所有者が現れなければ更新するなどの方法だ。また、所有者を探す手続きについても、法務局登記官など行政機関が活用できる情報などの見直しを行うほか、長期的な課題として不動産登記制度のあり方、土地所有者の責務の見直しなど長期的な課題について引き続き検討をしていくこととなっている。(201801,K)




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