TOB

take‐over bid

　TOB(株式公開買い付け)には、友好的なものと敵対的なものがある。敵対的買収は、被買収企業の経営陣と敵対関係に立って被買収企業の株式を買い付けることで、過半数以上の株式を取得し、被買収企業の支配権を獲得するやり方である。この敵対的買収による統合は、非効率な経営を排除し、株式価値と競争力を高めていく有力な成長方式の1つでもある。2006年には、製紙業界最大手の王子製紙が業界第5位の北越製紙に対して敵対的TOBを仕掛け、注目を集めた。王子製紙は、旧態化した設備の廃棄、物流の効率化、原材料コストの削減など経営統合による効果をうたった経営統合案を北越製紙へ提案したが、同案を拒否されたことで、改めて同社への敵対的TOBを宣言した。しかし、北越製紙による第三者割当増資を三菱商事が引き受けたこともあり、応募株式は成立条件の50%超をはるかに下回る5.3%にとどまり、敵対的TOBは失敗に終わった。

朝日新聞社 「知恵蔵2009」 JLogosID : 14844726