侍り給ぶ
【はべり-たう･ぶ】

はべり-たう･ぶ【侍り給ぶ】(―ﾄｳﾌﾞ)
((動詞または補助動詞｢はべり｣の連用形+尊敬の補助動詞｢たうぶ｣))<一>〔｢はべり｣が謙譲の動詞の場合〕お仕え申し上げていらっしゃる｡お控え申し上げていらっしゃる｡｢侍(はべ)り給(たま)ふ｣｢侍(はべ)り給(た)ぶ｣
[例]｢日頃(ひごろ)はべりたうぶなり｣〈宇津保･春日詣〉
[訳]｢ここ数日来お控え申し上げていらっしゃるそうです｣
<二>〔｢はべり｣が丁寧の補助動詞の場合〕…なさいます｡…ていらっしゃいます｡｢侍(はべ)り給(たま)ふ｣｢侍(はべ)り給(た)ぶ｣
[例]｢みづから遭ひはべりたうびて｣〈源氏･蜻蛉〉
[訳]｢(浮舟の母君が)ご自分で(使者の私に)会いなさいまして｣
<参考>平安時代に､主に男性の会話に用いられた｡自分より身分の高い人の行為を､その人より身分の高い人に話す場合に用いる｡｢はべり｣が話し手の､動作を受ける者に対する敬意や聞き手に対する敬意を表し､｢たうぶ｣が話し手の話題の人への敬意を表す｡

東京書籍 「全訳古語辞典」 JLogosID : 5071908