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鳴き響む・泣き響む
【なき-とよ・む】


((「なきどよむ」ともいう))<一>[自][マ四]<二>[他][マ下二]((「なきどよむ」ともいう))<一>ま/み/む/む/め/め<二>め/め/む/むる/むれ/めよ

((「なきどよむ」ともいう))<一>


[1]あたりに響き渡るほど、大きな声で鳴く。鳴きたてる。
[例]「◎あしひきの八(や)つ峰(を)の雉(きぎし)なきとよむ朝明(あさけ)の霞(かすみ)見れば悲しも」〈万葉・一九・四一四九〉
[訳]「◎多くの峰々にきじが鳴きたてる夜明けに立ちこめる霞を見ると悲しいことよ」
<参考>用例中の「あしひきの」は「八つ峰」にかかる枕詞。
[2]大勢の人が、声をあげて泣く。泣き騒ぐ。
[例]「いとらうがはしく、なきとよむ声、雷(いかづち)にも劣らず」〈源氏・明石〉
[訳]「ひどく騒がしく、泣き騒ぐ声は、雷(かみなり)にも劣らない」
<二>鳴き声をあたりに響かせる。「鳴(な)き響(とよ)もす」
[例]「◎暁(あかとき)の月に向かひて行き帰りなきとよむれどなにか飽き足(だ)らむ」〈万葉・一九・四一六六・長歌〉
[訳]「◎(ほととぎすが)明け方の月に向かって行っては帰りして鳴き声をあたりに響かせるが、(その声をいくら聞いても)十分満たされることがあろうか」




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5080918