山もとの 鳥の声々 明けそめて 花もむらむら 色ぞ見えゆく
【やまもとの】

〔〔和歌〕〕〈玉葉・春下・一九六・永福門(えいふくもん)院〉
[訳]「山のふもとに宿った鳥たちの声が聞こえだし、(空は)明け始めて、花も一かたまりずつその色が見えるようになることです」
<参考>「むらむら」はあちこちにかたまっているありさま。あけぼのの花を詠んだ歌。第二句を「鳥の声より」とする本文もある。聴覚と視覚で、しだいにあたりが明るくなっていくようすを描写する。

![]() | 東京書籍 「全訳古語辞典」 JLogosID : 5090997 |