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おぼろ-け
【おぼろ-け】


<形動>[ナリ]なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ

ぼんやりしていてはっきりせず、かすんでいるさまから、特徴がないさま・ありきたりであるさまの意として用いられる。


[1]〔多く、打消や反語表現を伴って〕並一通りだ。ふつうだ。
[例]「『誰(たれ)ならむ。おぼろけにはあらじ』とささめく」〈源氏・若紫〉
[訳]「『(光源氏が邸に迎えたのは)だれだろうか。並一通りの人ではないだろう』とひそひそうわさする」
[2](「おぼろけならず」の意味で)並一通りではない。格別だ。
[例]おぼろけの願によりてにやあらむ、風も吹かず、よき日出(い)で来て、漕(こ)ぎ行く」〈土佐・一月二十一日〉
[訳]並一通りではない祈願によってであろうか、風も吹かず、すばらしい太陽も出てきて、漕いで行く」
<参考>用例は、語幹「おぼろけ」に「の」が付いて連体修飾語となる語幹用法の一つ。
[例]おぼろけに思ひ給へ入りにしかも」〈和泉式部日記〉
[訳]格別に(仏道修行したいと)存じまして(山に)入ったのですから(簡単には帰りません)」
<参考>[1]の用法が多く否定表現を伴っていたことから、[1]とは正反対の[2]の意でも用いられるようになった。この語は近世末期に「おぼろげ」と濁音化し、また「おぼろ(朧)げ」(=はっきりしない意)の掛詞として用いられたことによって、混同されがちになった。




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5104383