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つかう-まつ・る
【つかう-まつ・る】


<一>[自][ラ四]<二>[他][ラ四]<三><補動>[ラ四]ら/り/る/る/れ/れ

つかう-まつ・る【仕うまつる・仕う奉る】(ツコウ―)
[自]《伺候》お世話申し上げる。お仕え申し上げる。→<一>
[他]《動作》…して差し上げる。…し申し上げる。→<二>
<補動>《謙譲》お…申し上げる。お…する。→<三>
動詞「仕ふ」の連用形に謙譲の補助動詞「まつる」が付いた「仕へまつる」が、ウ音便化した語。
<一>(「仕ふ」の謙譲語)高貴な人のそばにいてお世話申し上げる。お仕え申し上げる。
[例]「惟喬(これたか)の親王(みこ)、例の狩りしにおはします供に、馬頭(うまのかみ)なる翁つかうまつれり」〈伊勢・八三〉
[訳]「惟喬親王が、いつものように狩りをしにいらっしゃるお供に、馬寮の長官である老人がお仕え申し上げた」
<二>〔「為(す)」「行ふ」「作る」などの動詞の代わりに用いて〕(謙譲の意を表して)…して差し上げる。…し申し上げる。…いたす。
[例]「姫宮の御方の童(わらは)べの装束(さうぞく)、つかうまつるべき由仰せらるるに」〈枕草子・大進生昌が家に〉
[訳]「姫宮様のおつきの童女の装束を、作って差し上げるようにと(中宮が生昌(なりまさ)に)お命じになったところ」
[例]「笛つかうまつり給ふ、いとおもしろし」〈源氏・藤裏葉〉
[訳]「(夕霧が)笛(の演奏)をお引き受け申し上げなさるようすは、たいそう趣がある」
<三>〔動詞の連用形の下に付いて〕(謙譲の意を表して)お…申し上げる。お…する。
[例]「すべらぎの御祖父(おほぢ)にて、うち添ひつかうまつらせ給へる殿の御有様・御かたち」〈大鏡・道長・上〉
[訳]「(後一条)天皇の祖父として、(天皇に)付き添い申し上げられた殿(=藤原道長公)のご風采(ふうさい)・ご容貌(ようぼう)」
<参考>奈良時代の「仕へまつる」が平安時代に入ると「仕うまつる」に変化し、末期には「つかまつる」も併用され、鎌倉時代中期から「つかまつる」が一般的となる。




東京書籍
「全訳古語辞典」
JLogosID : 5110477