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石油を採掘した後に空洞はできるの?


以前、宇都宮市の周辺で、突然に土地や道路が陥没するという事件が起きましたね。これは地下に大谷石(おおいし)の採掘跡の空洞があったために起きたのですが、これと同じ現象が石油採掘現場でも起きないのでしょうか。
実は、油田というのは地下の空洞に海や湖のように溜(た)まっているわけではなく、岩や砂の隙間に染み込んだ状態で存在しています。通常、石油を採掘するときには、水や海水を注入し、その圧力を利用して汲(く)み上げます。つまり、石油を汲み上げた後の地層には、注入した水や海水が満たされた状態になり、そのため、大谷石の採掘跡のように地表が陥没するケースはまずありません。
ところで、三〇年ほど前には「石油はあと四〇年ほどでなくなってしまう」といわれていました。しかし、最近になっても同じように「石油はあと四〇年ほどでなくなってしまう」といわれています。三〇年前の予測が真実だとしたら、石油の残りはあと一〇年分しかないはず。いったいどうなっているのでしょうね。
一つには、新たな油田が次々と発見されていること。まだ採掘されていませんが、南アフリカやマゼラン海峡周辺にはかなりの埋蔵量の油田があるとわかっています。
そして、もう一つは採掘技術が向上したから。三〇年前の技術では採掘不可能だった油田も、最新の技術を使えばまだまだ石油を絞り出せるようになったのです。
きっとまた三〇年後にも、「石油はあと四〇年ほどで出なくなってしまう」と予測されているのではないでしょうか。




角川学芸出版
「無敵の雑学」
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