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石北峠
【せきほくとうげ】


上川地方上川町と網走地方留辺蘂(るべしべ)町の境界にある峠。大雪国道(国道39号の一部)にあり,標高1,050m。かつて峠の西は石狩国,東は北見国であったので,旧国名にちなんで石北峠と名付けられた。峠道は,かつてアイヌの交通路であった。明治40年頃,留辺蘂から西へ延びてきた道路は温根湯まで達した。明治末期,留辺蘂地方では石北峠を越えて上川に達する最短路開削の議論があり,上川側でも大正4年層雲峡に温泉が開設され,昭和2年には上川~層雲峡間に自動車道路が開通した。明治末期から昭和初期にかけて,留辺蘂側から3度,上川側から1度峠道踏査隊が送り込まれ(上川町史・留辺蘂町史),昭和期に入り,大雪山系の森林資源の利用と観光開発を目的に,大雪山横断道路開発の要望が一段と高まった。昭和24年開削工事が本格化し,西は層雲峡の大函,東はイトムカから進められた。昭和32年にルベシナイ川沿いに峠を越え,イトンムカ川沿いに下る難工事が完成し,同41年舗装も完了した(北海道道路53話)。昭和29年9月の台風15号は峠付近の美林8,000石をなぎ倒したが,風倒木の処理に開通した道路は大きな力を発揮した。峠の頂上にはこれを記念して愛樹霊塔が建てられた。また峠には大雪の尾根を一望できる展望台が設けられ,春から秋にかけて大雪国立公園の名所の1つとなっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7004509