十勝国
【とかちのくに】

(近代)明治2年からの国名。明治2年国郡制設定により成立した11か国の1つ。北海道の東南部に位置し,東は釧路国,北は北見国,西は日高山脈を挟んで日高国に接する。国名は,アイヌ語のトカプチにちなみ,十勝川の川口が2つ並んでいる形を呼んだとの伝承による。当国の大半は火山灰の洪積台地である十勝平野で占められる。気候は南部が太平洋に面するので海洋性気候であるが,内陸平野部は典型的な大陸性気候のため夏は気温が高く,冬は降雪量の多い寒冷地で,寒暖の差が大きい。河東(かとう)郡・上川郡・河西(かさい)郡・広尾郡・当縁(とうぶい)郡・十勝郡・中川郡が置かれた。なお,明治39年当縁郡は十勝・広尾両郡に分割されて消滅。明治2年開拓使の管轄となり,同年から同4年の間は鹿児島藩・静岡藩,田安・一橋両家の分領支配が行われた。同5年開拓使浦河支庁,同7年開拓使札幌本庁の管轄となる。同12年当国の各郡は,日高国浦河に置かれた浦河・三石・様似(さまに)・幌泉・広尾・当縁・十勝・中川・河西・河東・上川郡役所の所轄となるが,同15年開拓使が廃止され,当国は札幌県に所属。同19年県が廃され北海道庁設置。同20年釧路国に設置された釧路・阿寒・白糠(しらぬか)・足寄(あしよろ)・川上・広尾・当縁・十勝・中川・河西・河東・上川郡役所に属する。のち,幾度かの郡役所の変遷を経て,同30年7月に河西・河東・上川・中川・十勝・当縁・広尾郡役所の所轄となるが,同年11月には郡役所が廃止され支庁制が施かれて当国は河西支庁の所属となり,国郡制は実質的な行政区画上の役割を失った。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7005507 |