野付水道
【のつけすいどう】

根室地方別海町の野付崎と国後(くなしり)島ノッエト崎の間の水路。幅15kmで,根室海峡の最狭部をなす。「ノッケよりクナシリまで海路四里」(根室旧貫志)といわれ,明治の末期には道庁の補助航路のほかに,近海の小廻船も多く出現し,根室国沿岸および国後島に航行するものが多かった。国後への運賃は最短距離にある野付が,他の地区に比べて最も安かったという(根室市史下)。しかし最狭部の上に水深も5~10mと浅く,付近には野付・ノッテト・野付北などの浅瀬も多い上,その広さや形状が変化し,目標物が近くにないことから,「水路誌」も「根室海峡の通航可能性は一つには流氷の状況とその船舶が野付水道を通航できるか否かによる」と記すほどで,通常は喫水4m以下,500t以下の船舶の通航に限定される。この水道はホタテ貝・エビのほか,サケ定置網などの好漁場となり,標津港(第2種漁港)が基地になっている。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7006616 |