大町?
【おおまち】

旧国名:陸奥

(近世～近代)江戸期～昭和43年の町名。明治14～22年は汎称として青森を冠称。江戸期は青森町のうちの１町。宝暦４年頃に本町が改称して成立（青森市沿革史）。堤川河口部左岸の海岸平野に位置する。北側は青森湾沿岸部にあたり，南方には青森平野が広がる。旧市街地の中央部にあり，東は塩町，南は米町，西は越前町，北は浜町にそれぞれ接する。天明元年の大町・塩町・莨町３町の町役は87軒半，１か月２度人足175人で，同年は加賀屋専助が年間賃銭２貫100匁で一手請負をしている（同前）。宝暦４年安方御蔵を冥加として建造献納した伊勢屋市郎右衛門は，のち落合専右衛門と名乗り，町年寄となった。専右衛門は寺子屋の師匠をもしており，天明３年青森で起こった騒動の中心的役割を果たし，牢死している（同前）。落合専右衛門のほかに，寛政11年頃木子屋久兵衛が寺子屋を開き，男子70人・女子３人を教えた。また，文化年間には弘前藩士小山内忠作が寺子屋を開設，元治元年には男子89人・女子11人の門弟がいたという。さらに，幕末から明治初年にかけては，浪人一町田専吾が門弟男子50人・女子10人の寺子屋を開いている（青森市史）。天明３年11月の青森大火では，町の北側は正覚寺角より上林角まで，南側は正覚寺角より福士角までを焼失，安政６年の５月の火災では本家116・借家85を焼失，文久元年３月の火災では本家59・借家34・潰家６を焼失した。また，明治５年11月の大火で当町は全焼した（青森市沿革史）。明治初年の戸数279，町の状況は「越前町の末は御倉之通にして少し南に折れ東に転するを大町と云ふ，爰を札之辻と云は旧制札ありし所なれはなり，大町長七丁四十九間一尺・幅六間……此通は当町の駅路なれとも，南に並へる米町は東南西の村々より出入の便よく行人牛馬多く集り衆ひ，且肆店巨構販売富盛なれは旅客駄馬等まて多くは皆米町の方のみ往来し，当町は米町に較ては行人少く売買も劣れりと云う……此町も米町の若く三の小字あり，正覚寺通より西を上大町と云ひ，福士之通より上を中大町と云ひ，塩町橋より上を下大町と云ふ」という（国誌）。当町は奥州街道沿いで宿駅であったが，南側の米町の方が交通量・商店などが多かったことがわかる。明治22年青森町，同31年からは青森市に所属。明治22年の戸数319・人口１，530，反別は宅地５．７町余のみ（青森市史）。明治期から当町は米町とともに金融街を形成している。第五十九銀行の支店は，明治26年に三井銀行支店が青森を引揚げて以降，これにかわって県庁の金庫事務を取り扱うようになり，重要性を増した（青森市町内盛衰記）。このほか，町内には青森銀行・安田銀行支店・青湾貯蓄銀行などが設立されている。昭和43年本町１～５丁目・安方１～２丁目となる。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7010262