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出羽国
【でわのくに】


旧国名:出羽

(古代)旧国名。東山道の1つ。明治初年以前は現在の山形・秋田の両県にわたる地域。和銅5年に越後国の出羽郡に陸奥国置賜(おきたま)最上2郡を加えて出羽国が立国された。その後,奈良期には天平5年雄勝郡の設置があり,天平宝宇3年には雄勝・平賀2郡の分割整備が行われた。さらに平安初期には秋田・河辺・山本の各郡が置かれ,出羽郡は田川・出羽・飽海の3郡に,最上郡は最上・村山の2郡に分かれた。こうして,10世紀には11郡からなる出羽国が成立する。出羽国には津軽も含まれていたと思われる。9世紀末から10世紀にかけて,奥羽の北部では蝦夷・俘囚の叛乱が記録されている。貞観17年11月の渡島の荒狄(あらえびす)の叛乱,元慶2年の元慶の乱といわれる出羽の蝦夷の大規模な叛乱,天慶2年の出羽の俘囚の大規模な叛乱などが主なもので,いずれも出羽国の蝦夷あるいは俘囚の叛乱にかかわるものである。元慶の乱では,津軽蝦夷の動向が1つの焦点となっている。津軽は律令政府から蝦夷村として把握され,この時期には津軽地方およびその北の渡島(北海道)は出羽国の管轄下にある蝦夷村であった。ただし,津軽が出羽国に含まれていたわけではなく,政府が津軽を出羽国府や秋田城・雄勝城などの管轄下に含めていたことにすぎない。その後,12世紀にはいると平泉藤原氏の北奥支配が確立し,津軽は陸奥国の管轄下に入り,平賀・鼻和・田舎・山辺の4郡と郡に相当する西浜・外浜が設置された。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7011868