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有壁村
【ありかべむら】


旧国名:陸奥

(近世)江戸期~明治8年の村名。栗原郡のうち。地名の由来は,岩穂山の白岩が壁のように見えることによるという(安永風土記)。有馬川流域の丘陵を占める。一関(いちのせき)藩領。「元禄郷帳」の村高は583石余,「天保郷帳」では750石余。安永期の村の状況は,村高81貫余・人頭92・戸数88・人口は439・馬90(安永風土記)。宿場有壁町が元和5年に立てられ,5丁4間の町場が成立。寛文7年には有壁新町ができた。里程は金成町へ2里6丁余,沢辺町へ2里24丁,一関へ2里3丁余。助郷は普賢堂村42貫余・赤児(あかちご)村54貫余・藤渡戸(ふじわたど)村49貫余・末野村62貫余・有壁村80貫余・片馬合(かたませ)村59貫余・奈良坂村65貫余である。本陣は,御成門・式台・上段の間などその形式がそろって,延享元年の建物が現存し,史跡に指定されている。「奥州道中歌」がこのあたりの宿駅を次のように詠み込んでいる。「あれ宮野沢辺の螢草むらに,鳴く鈴虫の声は金成,噂する人にくせ有壁に耳,口のあけ立て一の関なり」。奥道中の風物が順路を追って北上するさまがわかる。明治元年宇都宮藩預り地となり,以後,栗原県・胆沢(いさわ)県・登米(とめ)県・一関県・水沢県・磐井(いわい)県に所属。明治8年片馬合(かたませ)村と合併,有馬村の一部となる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7016645