関谷村
【せきやむら】

旧国名:出羽

(近世)江戸期～明治９年の村名。村山地方，丹生(にう)川の支流赤井川沿岸に位置する。村山郡のうち。はじめ最上氏領，元和８年山形藩領，寛永20年幕府領。ただし，安政２年からは蝦夷地松前藩預り地（尾花沢(おばなざわ)陣屋支配）。村高は，寛永13年の領地目録（家世実紀）では363石余，「天保郷帳」「旧高旧領」ともに350石余，天保13年の村山石高帳でも変わらず。村名は村内に口留番所が置かれたことに由来する（改訂わたしたちの尾花沢市）。宝暦11年の高免１ツ８分，家数32軒・人数174（うち男113・女61），馬８，御林は梅の木山，川除は関谷川に１か所，丸木橋３か所，白山銀山・三沢山銀山・和合山銀山留山がある（尾花沢市史資料５）。尾花沢付村明細帳（県史13）によれば，天明７年の家数42軒・人数170（うち男95・女75），馬12，年貢米は大石田河岸（現大石田町）から下げ降し，薪木取場は鹿沢山・戸沢山・岩谷沢山・大谷地山を８か村入会で利用，村内に口留番所が置かれ，番人は当村と矢越村の者が２人ずつ順番に勤めたため，助郷および普請人足は免除された。元禄２年５月17日松尾芭蕉と曽良は堺田村（現最上町）を立ち，一刎から山刀伐(なたぎり)峠を越えて，市野々村・当村・正厳村を経て尾花沢に至っており，「曽良随行日記」（おくのほそ道／角川文庫）には「市野ゝ五六丁行テ関有。最上御代官所也。百姓番也。関ナニトヤラ云村也」とある。寺院は曹洞宗東照寺。旧山形県を経て明治９年山形県に所属。同年矢越村と合併して富山村となる。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7025880