100辞書・辞典一括検索

JLogos

31

萱場
【かやば】


福島市にある集落。松川扇状地の扇央部笹木野原の北東に位置する。萱場梨栽培の発祥地として知られる。ここでの梨栽培の元祖は萱場の鴫原佐蔵で,明治14年自宅が火災にあい,萱場の集落から少し離れた当時の笹木野村字原端(はらはた)に転住し開墾を始めた。礫の多い土地で頭初は作物がよくできなかったが,栃木県日光町で庭師と植木屋を営む伯父が梨を栽培しているのに気づき,その意見を聞き明治20年梨苗50本を試植,地味が悪く,たびたび霜害を受けるので付近の者は「梨は何もなしになる」と笑うなかを,努力を重ね数年後良果を得た。当時東邦実業会監督の前田正名が,佐蔵の農魂を賞賛し梨園を訪ね,梨を持ち帰って天皇に献上したという。隣接地の笹木野原はその頃林敏らの手で開墾され,桑園になっていたが,佐蔵の成功をみて梨園に替え,萱場梨の産地になった(野田村郷土史)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7030349