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願入寺
【がんにゅうじ】


東茨城郡大洗町磯原町にある寺。単立。原始真宗大網門跡大本山。山号は岩船山。本尊は阿弥陀如来。親鸞の孫で本願寺2世如信が東国巡錫中,弘安2年陸奥国白河郡大網に一宇を建立,奥之坊と称し開基となり,嫡子浄如がこれを相承し,3世空如の時願入寺と号したという(二十四輩順拝図会ほか)。文安3年,8世如慶の代に兵火にかかり,那珂郡大根田に移り,その後同郡菅谷を経て,12世如上の時久慈郡久米に移転した(同前)。戦国期には石山本願寺の御堂衆を務めたり(大谷本願寺通紀),石山合戦期天正8年以後は顕如方(のちの西本願寺派)とともに行動したともいわれる(二十四輩順拝図会)。15世如高の時,徳川光圀の外護を受け,延宝元年現在地に寺基を移すとともに,寺領300石ならびに毎年黄金200両の寄進を受けたという(同前ほか)。元治元年の兵火により,一時期旧地久米に寺基を移すが,明治9年現在地に再建,昭和28年単立となった。関東地方の真宗寺院中屈指の大刹で,寺宝も数多い。寺所有の親鸞上人画像・阿弥陀如来立像・唯信鈔断片・蓮如消息・香合・朱漆塗蔦葛模様椀はいずれも県文化財。また初期真宗教団を知る上での重要史料である「二十四輩牒」は,本願寺3世覚如が如信の33回忌法要を当寺で修した際に,東国門弟の有力者20余名が集まって書き上げたものである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7036691