櫛形村
【くしがたむら】

(近代)明治22年～昭和30年の多賀郡の自治体名。東部は太平洋に面する低地部に位置する。伊師本郷・友部の２か村と伊師の一部が合併して成立。旧村名を継承した３大字を編成。村名は櫛形古城から名付けた。役場を伊師本郷に設置。明治24年の戸数412・人口2,389，厩350，船10。世帯・人口は大正９年754・3,355，昭和10年654・3,377，同25年1,536・7,621，同30年1,602・7,945。明治30年日本鉄道磐城線の川尻駅建設。同33年川尻駅前大火，同35年大暴風雨。同年「菊の香」が酒造工業事業を開始。大正３年友部の炭礦は広部炭鉱に譲渡されたが，同11年廃業。大正５年役場の新庁舎が新築落成。同６年川尻駅前に日本醸造工業が開設し，醤油醸造を始める。同７年村立櫛形農業補修学校創立。同８年川上の東泉寺失火。同11年豪雨のため被害大。同13年福島・栃木・群馬・埼玉の各県に松苗の販路を広げる。昭和７年村内に電話が開設。同18年川尻駅から東邦炭礦に専用引込線が通り，同20年高萩炭礦の櫛形営業所に譲渡。第２次大戦中，米艦からの艦砲射撃を受け，また飛行機からの焼夷弾攻撃により，伊師浜が焼ける。同22年新堀用水路隧道工事が完了。同年川尻炭礦創立。同28年異常気象のため凶作で水稲作柄は平年作の36％。同29年友部の一部を高萩市に編入。昭和30年十王村の一部となり，３大字は同村の大字に継承。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7036835