長泉院
【ちょうせんいん】
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南足柄市塚原にある寺。曹洞宗。山号は玉峯山。本尊は釈迦如来。小田原城主大森氏頼(寄栖庵)は,父頼春の菩提のため,岩原村薬師堂の地に清泉院を開き実山永秀を開山に招いた。文明2年その子実頼は現在地に寺基を移し,現山院号に改称して大森氏代々の菩提寺とした。清泉院跡には今も清泉畑という地名が残る(塚原村長泉院由緒書/県史資8下)。この時住持であった大寧宗忍をもって開山としている。大森氏滅亡後は,小田原北条氏の外護をうけ氏康の時代に重臣松田尾張守憲秀より山林禁制の制札(相文/同前3下-8275),永禄9年板尾窪1貫500文の寺領寄付(相文・県史資8下),天正18年には,足柄上郡中沼郷を永代寺領として寄付(相文/県史資3下‐9639)を受けている。同年小田原攻めに際しても荒廃は少なかったらしく5月寺僧門前の安堵状が増田長盛より下されている(相文1・県史資8下)。同19年大久保忠世より山林不入および四至の境域が定められ(県史資8下),文禄元年には寺領が安堵されている。慶長15年には,最乗寺より「一郷一ケ寺」の寺として認められる(同前)。江戸期には,天和2年領主の稲葉美濃守正則より,慶安2年以来の寺領18石2斗余が安堵されている(同前・相文1)。境内には,善光寺如来堂があり背後の洞内には弁財天が祀られ,元禄10年再鋳銘の鐘が残る。
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![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7067929 |