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豊顕寺
【ぶけんじ】


横浜市神奈川区三ツ沢西町にある寺。法華宗陣門流。山号は法照山。本尊は曼荼羅。また日蓮像を安置。永正12年三河国八名郡多米の郷士多米玄蕃元興が,多米村に菩提所として1宇を創建し本顕寺と号し,漸巧院日時を請じて開山としたのが当寺の前身と伝える。その後元興は,小田原北条氏の部将となり天文年中神奈川青木郷を領したので,本国の本顕寺を領内の三ツ沢に移建し,寺号を豊顕寺と改めた(新編武蔵)。日時が弟子郷公日有に授与した曼荼羅裏書に「于時天文廿暦辛亥八月時正武州青木内三沢草庵」とあり,三ツ沢への移建は天文20年以前と考えられる(同前)。2世日慶のとき,元興の子青木城主多米大膳長宗が三ツ沢の山荘を当寺に寄進し,堂宇が整ったという。日慶を中興開山,長宗を中興開基とする(横浜市史稿)。法華宗本成寺(新潟県三条市)の末寺で,寛永10年の「洛陽法華宗本禅寺末帳」(本末帳集成)に「自越後国本成寺預支配仕寺」として「武州金川ノ近処豊顕寺」,天明6年の「本成寺派寺院本末帳」(同前)に「同(武蔵)国橘樹郡三沢村豊顕寺」とそれぞれみえている。また享保9年には,境内に法華宗本成寺派の檀林として三沢檀林が建立され,それまで宮谷・沼田(以上上総国)・小栗栖(山城国)各檀林に分散修学していた学徒を三沢に招集した(三沢檀林略縁起/横浜市史稿)。規模としては中程度の檀林で,大正11年越後本成寺内に法華宗学林ができるまで,宗内の教育機関として大きな力をもっていた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7068802