北谷村
【きたたにむら】

(近代)明治22年～昭和29年の大野郡の自治体名。九頭竜川支流滝波川上・中流域に位置する。中尾・北六呂師・河合(こうご)・木根橋・小原・谷・中野俣・杉山の８か村が合併して成立。旧村名を継承した８大字を編成。村名は，最も大村であった谷に郡の最北を意味する北の字を付し命名された（新村選定事由調）。役場を北六呂師に設置。明治24年の主な農産物は米753石・稗978石・煙草565貫・馬鈴薯2,630貫・麻623貫・桑葉４万3,502貫・繭174石など。山村で農地が少ないため養蚕や製炭業，冬の出稼ぎなどで生計を補うことが多く，白山麓に広く分布する出作りと呼ばれる山の斜面を利用した焼畑耕作が盛んな地帯でもあった。また，歩荷や馬車引きなどの賃労働に依存することも多かった。昭和７年経済更生村に指定され，同11年には信用販売購買利用組合が設立された。同13年の反別は田131町余・畑223町余・山林3,062町余で，主な生産物は木炭・米・用材・薪炭材・藁製品などであった。同21年牛首道の谷峠隧道完成。同27年の世帯数は384で，産業別では農業273，林業・狩猟業36，運輸通信業20などである。同29年勝山市の一部となり，当村の８大字は北谷町を冠称して同市の大字に継承。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7092153