本堂村
【ほんどうむら】

旧国名:越前

(近世)江戸期～明治17年の村名。越前国坂井郡のうち。九頭竜川との合流点より約４km上った竹田川左岸の自然堤防上に位置する。地名の由来は，西に隣接する角屋(すみや)村にかつて専光寺という大寺院が存在していたことからその堂舎を起源とするという説もある。はやく天正８年の本願寺教如消息の宛名に「ほんと」として見える（福円寺文書）。慶長国絵図では新郷のうちに属す。慶長９年多賀谷左近大夫に対する結城秀康知行宛行状には三国領本堂村のうち100石を知行として与えたとある（多賀谷文書／福井市史資料編）。はじめ福井藩領，正保２年松岡藩領，享保６年から再び福井藩領。村高は，「正保郷帳」の石高298石余うち田方70石・畑方228石余，「元禄郷帳」「天保郷帳」「旧高旧領」も298石余。村鑑では家数21・人数81（男37・女44），牝馬4,年貢率は，安永２年に７歩５厘，それ以前では元禄３年の１ツ７分を最高とし，その他諸役銀として御鷹餌代銀・川除銀・道銀・鴨猟場役があった。また産物としては瓜・茄子，農間余業として縄・苧が見える。当村は十郷用水本庄西江組合に属す。文化２年には上流宮前村と水をめぐり出入に及ぶ（芦原町史）。北部にはもと天台宗であり，蓮如の越前布教の時に転宗したと伝える真宗大谷派寂静寺がある。西部の神明神社に安置されている十一面観音は寂静寺が天台宗の時のものとされている。村の北端の竹田川岸には「こうど」と呼ばれる船着場があり，渡舟が１艘，近隣28か村組合で渡し守が１人いた。明治４年福井県，以降足羽(あすわ)県，敦賀県，石川県を経て，同14年福井県に所属。「足羽県地理誌」では，戸数20・人口97（男52・女45），田４町余・畑11町余，物産として木綿80反，布75反，俵2,500枚，ほかに漁猟が行われる。明治７年の戸数21。同17年北本堂村と改称。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7095054