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折戸湾
【おりどわん】


清水市南部,有度(うど)山東麓の駒越(こまごえ)から,北東に向かって駿河(するが)湾に延びる分岐砂嘴によって抱かれた最奥にある小湾。古くは織戸と書き,織処を意味したが,一説には地形が戸の折り目のような形をしていることに由来しているという。分岐砂嘴である三保半島は,今から約6,000年前,安倍川や有度山を削った砂礫が,沿岸流によって運ばれ堆積されてできたもので,この三保半島の形成で,折戸湾が作りあげられた。静岡市街北方6kmにある麻機(あさばた)沼(浅畑沼とも書く)に水源をもつ2級河川巴(ともえ)川が流れ込んでいる。かつて,清水の入り江は,内陸奥深く入り込んで,麻機まで続き,この入り江を古折戸湾という。水深6~7m。三保半島は自然の防波堤の役割を果たし,折戸湾は天然の良港としての条件をもち,その歴史は古く,天智天皇の頃,百済(くだら)救援の記録もあるが,「安倍郡誌」によれば,「海運ノ事ヲ記セルハ徳川氏ノ時ヲ初メトス」とあり,港湾としては400年近い歴史を有する。江戸期,清水湊に運ばれた物資は,巴川をさかのぼって駿府に輸送された。明治32年清水港は開港場となり,茶・ミカン・漆器などの輸出港としてその地位を築いた。昭和27年特定重要港湾に指定され,産業の発展に伴う輸出入貨物の増大で,清水港は拡張されて,江尻(えじり)・袖師(そでし)・興津(おきつ)に延びた。折戸湾奥一帯は,外材の貯木場として利用され,三保側は造船所,巴川河口側は清水港に続く製粉・製糖・合板などの工業が立地し,折戸湾沿岸は,清水臨港工業地域を形成している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7110561