産田神社
【うぶたじんじゃ】

熊野市有馬町にある神社。祭神は伊弉諾命・伊弉冉命・軻遇突智命ほか6柱。社伝によると社名は地名が伊弉冉尊がこの地で軻遇突智神を産んだので産田と名付けられたことに由来する。また創祀は崇神天皇の御代と伝え,古来「日本書紀」神代巻の「伊弉冉尊,生火神時,被灼而神退去矣,故葬於紀伊国熊野之有馬村焉」の地に比定されている。現今のように三神を1社に併祀するようになったのは明治7年の造替からで,古くは「産田二所大明神」(永正18年棟札)として別々に祀られていたと考えられることから,夫神の伊弉諾尊は後に並べ祀るようになったのであろうと社伝はしている。長承元年根来の覚鑁などが供奉して崇徳天皇産用に御幸があったと伝える。古く熊野の総社として崇敬され,安産の神として篤い信仰をうけている。明治4年郷社に列格,同39年神饌幣帛料供進社に指定,同40年無格社5社を合併。例祭日1月10日,11月23日秋祭。例祭と秋祭に左ききの子を右ききになおす奉飯の神事がある。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7125496 |