浄眼寺
【じょうげんじ】

松阪市大阿坂町岩倉にある寺。曹洞宗。山号は正法山。本尊は釈迦如来。開山は遠江国榛原郡石雲院主の大空玄虎。開基は法名を無外逸方といい,「伊勢国司記略」では5代伊勢国司北畠政郷にあて,「玄虎禅師行状記」では同6代材親と記す(浄眼寺文書/松阪市史)。前記行状記によると,文明10年現山寺号を定めて伽藍建立が完成。同18年寺領30石20貫が寄進され,以後も北畠氏菩提所として永正12年の寺領安堵状や永正16年の諸課役免除状を給され保護が加えられた(同前)。また開山の大空は,石雲院開山崇芝性岱門下七哲の1人で,当寺のほか度会(わたらい)郡田丸広泰寺(度会郡玉城町に所在)・越前国竜雲寺(福井県坂井郡に所在)を開創。後土御門天皇より仏性活通禅師の謚号をうける(浄眼寺文書/松阪市史・本朝高僧伝/仏教全書103)。戦国期の永禄12年織田信長の阿坂城攻略の際,兵火にかかり伽藍を焼失。天正4年北畠氏の滅亡(伊勢国司記略)で,外護者を失い寺基は荒廃。文禄3年の太閤検地で松坂城主服部采女正寿安より山林屋敷地を安堵される(浄眼寺文書/松阪市史)。近世期,慶安・宝暦年中に堂宇の修築が行われ(一志郡史),「延享度曹洞宗寺院本末牒」には上記石雲院末で一志(いちし)郡内を中心に19か寺の末寺が見られる。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7127296 |