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【つ】


旧国名:伊勢

伊勢平野中部に位置し,東は伊勢湾に面する。安濃(あのう)川・岩田川などが流れる。古くは安濃津(あのつ)と称したが,後代には略して単に津と呼ぶようになった。それがいつ頃に始まったか明らかでないが,「安東郡専当沙汰文」(群書22)には単に津湊と見え,また大永2年の長野氏奉行人の文書にも津四郷とあり,その起源は古いと思われる。江戸期には安濃津・津の両方を用いるが,主に津と呼び,藩名も津藩と呼ばれた。明治4年の廃藩置県の際には安濃津県と称したが,翌5年に三重県と改めて大区小区制を制定した時には単に津といい,同22年の市制施行時にはっきりと津市と定めた。当地は地名にも表われているように古代以来良港をもつ港町として発展し,鎌倉・室町期には中国の「武備志」に坊津や博多津とともに日本三津の1つとして海外にも知られていた。しかし,この港も明応7年の地震で陥没し,以後は陸上交通の要地となった。陥没から免れた住民も大洪水の被害をうけ,人々は旧地を捨てて西方の比較的高台の地に移転した。それが現在の津市の中央部,したがって津城下町の中央部(橋内と呼ばれた)であると一般に信じられている。仮にこの移転後の市街地を新安濃津と呼ぶならば,旧安濃津は阿漕浦付近の現在の柳山のあたりといわれる(津市史)。
津城下(近世)】 江戸期の城下町名。
津市(近代)】 明治22年~現在の自治体名。
津(近代)】 明治22年~現在の津市の大字名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7127876