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大雲寺
【だいうんじ】


京都市左京区岩倉上蔵町にある寺。単立(天台系)。山号は紫雲山。本尊は十一面観音。天禄2年日野中納言文範が,真覚上人を開山として建立した園城寺の別院で,のち,円融天皇の御願寺となった(大雲寺縁起/続群27上)。寛和元年2月22日皇太后昌子内親王が寺内に観音院を建立(日本紀略),朝野の崇敬を集めた。「扶桑略記」同日条には「此院之裡有六箇堂」とあり,以下,各堂について詳細な記載がなされている。このことから大雲寺の堂宇は,観音院の裏に位置し,講堂・五大堂・灌頂堂・法華堂・阿弥陀堂・真言堂の6堂宇を備えた壮大なものであったことが知られる。しかし,保安2年5月27日の山門衆徒による焼き打ち(百錬抄),保延2年3月12日の火災(中右記)などで衰退,中世以降も兵火をうけ衰微した。現在の堂宇は寛永年間後水尾天皇,および東福門院の援助によって,実相院門跡義尊が再興したもの。寺宝には,もと比叡山西宝憧院にあった天安2年8月9日在銘銅鐘(国宝),「享保七〈壬寅〉狩野永伯画」と記された絵馬,江戸初期から幕末にいたるまでの寺院記録である「旧記大帳」などがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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