楠町
【くすのきちょう】

(近代)昭和30年~現在の厚狭(あさ)郡の自治体名。有帆川上流域・厚東(ことう)川上流域の沖積低地に位置する。船木町・万倉村・吉部(きべ)村が合併して成立。万倉村・吉部村の8大字を継承。なお,旧船木町域は大字なしの地域であったが,昭和30年同地域をもって船木が起立し,合計9大字となる。地名の由来は,神功皇后が三韓出兵の時船材を船木住吉の楠の大樹に求め,軍船48隻を造ったとの伝承による。町役場は船木綿屋町に開設。支所は万倉(西万倉口の坪)・吉部(東吉部吉部市)の2か所。同33年奥万倉の一部が美祢(みね)市奥万倉となる。昭和31~39年,船木の炭鉱が相次いで閉山。昭和36年小野田市,同45年宇部市との合併問題が浮上したが,反対が多数を占め実現しなかった(わが町の歴史アルバム)。交通は明治33年に山陽鉄道(現JR山陽本線)が船木を回避して以来鉄道に恵まれず,船木鉄道も昭和36年に鉄道部門の営業を廃止した。道路は国道2号・主要地方道小野田美東線・同宇部船木線・県道伊佐吉部山口線が通る。そのほか山陽新幹線,宇部興産道路(宇部美祢高速道路)が走っている。誘置企業はエレクトロニクス企業日本電気が神元工業団地に進出,山口日本電気を設立して同60年に操業開始(同前)。農業では米のほかナス・キュウリ・ブドウ・イチゴ・レタスの栽培,タケノコ・フキの生産および加工,茶業が盛んで,酪農・肥牛も奨励されている。生活環境の整備では水道事業に重点を置き,昭和56年に第1期拡張工事を完了(同前)。特産として赤間硯・琴の伝統工芸品がある。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7192683 |