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阿波国府跡
【あわこくふあと】


奈良期~平安期の官衙跡。徳島市国府町府中字田淵の大御和神社周辺に所在。鮎喰(あくい)川によって形成された沖積平野の末端付近の海抜7m前後に立地している。従来の歴史地理学的研究の成果をふまえて,昭和57年度から6か年計画で重要遺跡確認調査を実施している。第1次調査(昭和57年度)では,大御和神社境内(A地区)のAⅡ・AⅣ地区を中心に調査を実施した。検出遺構としては,掘立柱建物2棟,溝4条,柱列2,土壙14,井戸1,石組1などがあり,出土遺物としては,土師器・須恵器・瓦器・陶磁器・土錘・陶硯等の土製品類,石鍋・石硯等の石製品類,鉄製品・寛永通宝等の金属製品類,丸瓦・平瓦等の瓦塼類などがあり,平安後期以降に比定されるものが大部分である。第2次調査(昭和58年度)では,大御和神社の東側(BⅠ・BⅡ地区)と北西側(CI地区)で調査を実施した。検出遺構としては,掘立柱建物1棟,溝3条,柱列1,土壙(土壙墓を含む)4などがあり,出土遺物としては,土師器・須恵器・陶磁器・土錘等の土製品類,石鍋・砥石等の石製品類,鉄小刀・古銭等の金属製品類,丸瓦・平瓦の瓦塼類などがあり,平安後期以降に比定されるものが大部分である。第3次調査(昭和59年度)は,大御和神社の西方約180mの地点で実施された。検出遺構としては,溝6条・土壙(土壙墓含む)4などがあり,出土遺物としては,土師器・須恵器・黒色土器・瓦器・陶磁器・土錘・鞴羽等の土製品類,鉄斧・鉄刀子・元祐通宝(篆書体)・大宋元宝等の金属製品類,丸瓦・平瓦等の瓦塼類があり,奈良末期以降に比定されるものが大部分である。第1~3次調査で検出された遺構は,阿波国府の政庁等の遺構と特定化することはできなかったが,阿波国府・国衙・政庁を考える上で示唆に富む資料を提供してくれた。この調査成果からすれば,阿波国府の政庁が大御和神社より西方に位置している可能性を有しており,今後の調査成果が待たれる。また府域については,阿波国が中国から上国の変遷により,6町から8町になり,政庁も移動したことが指摘されている。文献は「阿波国府跡第1次調査概報」(昭和58年),「阿波国府跡第2次調査概報」(昭和59年),「阿波国府跡第3次調査概報」(昭和60年)など。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7195092