節安
【せっつやす】

北宇和郡日吉村最奥地の集落名。古来16戸で構成されていたが,昭和38年以降挙家離村が続出,昭和48年を最後に残った7戸が集団離村し,廃村となった。この集落には実面積1,360haに及ぶ林野があり,そのうち41%が明治期節安組有林として管理され,採草,薪炭・用材採取業に利用されるという。共有林を物的基盤とした共同体的性格の強い集落であった。挙家離村の動機は昭和48年の記録的豪雪によって外部との交通が遮断されたこと,また同年夏の記録的集中豪雨によって,多くの田畑を流失したことによる。最後の7戸の集団離村は,村の集落移転事業によって行われ,役場のある下鍵山に住宅団地を形成して,そこに移された。廃村の跡地には,離村民によって旧耕地に植林がなされ,林地は離村民によって通勤林業されているが,管理の手が次第にうすれ,林野利用は粗放化されている。

![]() | KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7201895 |