100辞書・辞典一括検索

JLogos

22

上灘村
【かみなだそん】


(近代)明治22年~昭和16年の幡多郡の自治体名。足摺(あしずり)半島東部に位置する。窪津・大岐・伊布利・津呂・大谷の5か村が合併して成立。旧村名を継承した5大字を編成。南北に長く東西に狭い地形で,北部に平地があるが南部は海岸段丘上の耕地で畑が多い。海岸線は湾曲し土佐湾流の末端となり日本海流の流れに接する位置にあたり,魚群の回遊が多く定置漁業が盛んであった。村名は,足摺半島西岸を灘前と呼称することに対し,その上手にあたる灘の意から上灘と名付けられたと伝えられる。明治24年の戸数569・人口2,378(男1,265・女1,113),厩123,船109。大正5年の戸数688・人口3,204,民有地は田94町3反・畑136町・宅地13町2反・山林111町・その他8町8反,村役場は尻貝にあり,小学校数は本校3・分教場1,郵便局(以布利)・巡査駐在所(窪津)があり,以布利・窪津とも毎日1回東西に汽船が発着した(幡南探古録)。昭和7年頃の資料によると,面積1.33方里,戸数661・人口3,240,産業については総戸数のうち漁業272・農業204で,漁農がほとんど相半している。農産は総額約30万円,耕地は1戸あたりわずかに田1反4畝・畑2反2畝にすぎず,米・麦などの食用作物の収穫はきわめて少ないが,養蚕が盛んで年産約1万5,000貫に達し,郡内屈指の産繭地とある。水産は総額約30万円,定置漁業が主であるが,小釣漁業も相当盛んに行われ,主要漁獲物は鰤・鮪・鰹・鰺・鰯などで,特に鰤の漁獲高が多いが,鰹節の産額は極少であるという(県誌)。同11年の生産総額39万8,434円うち農産11万8,420円・畜産2,937円・林産1万5,770円・水産25万4,877円・工産6,430円,主要生産品は魚・繭・米(経済一覧)。同16年清水町の一部となり,村制時の5大字は同町の大字に継承。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7204994