青方湾
【あおかたわん】

南松浦郡上五島町にある湾。中通島の北西部に位置し，東シナ海に面している。湾口には祝言島・折島・柏島が浮かび，自然の防波堤となっている。また，水深も湾央で36mと深いことから，古くより天然の良港として名高い。「肥前国風土記」には「相子田」とあるが現在の青方または湾内の相河とする説があり，遣唐使の寄港地であったと思われる。今里には御船様と呼ばれる舟型の石碑があり，航海の平安無事を祈願したものだといわれ，平家塚と称される板碑群もあり，平家落人の墓であるといわれている。現在は以西底引網漁業の基地として知られ，真珠・ハマチの養殖も行われている。折島・柏島には洋上石油備蓄基地が昭和59年10月に着工されており，地元への経済効果が期待される。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7219213