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延命寺
【えんめいじ】


長崎市寺町にある寺。真言宗御室派。医王山遍照院と号す。本尊は薬師如来。江戸初期の慶長~元和年間,備前国岡山出身の僧竜宣が長崎を訪れ,真言密教の布教に努め,元和2年長崎奉行長谷川権六の許可を得て一寺を創建。開創時は山寺院号をもたなかった。同年4~8月に長崎で多くの死者を出す疫病が流行すると,竜宣は疫病平癒を薬師如来に祈願し,その効験で疫病が終息。以後庶民の信仰を集めた。奉行長谷川氏から総町安全祈願所とされた。寛永3年,京都仁和寺の末寺となり,遍照院と号した。同18年には仁和寺より現在の山号寺号の公称を許される。以後延命寺住職が近隣に布教を続け,正保2年長崎の大工町に青光寺,同4年樋屋町に妙音院(のちの能仁寺),慶安元年浦上に円福寺,万治3年大村に宝円寺などの末寺が開かれていった。宝暦10年頃の境内は1,800坪。文化8年正月,9代住職猛雄が大村藩士片山清七と紛争を起こして殺害されるという延命寺騒動があった。嘉永4年8月の火災で全伽藍を焼失するが,明治25年本堂その他を復興した(長崎実録大成・長崎市史仏寺部)。




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「角川日本地名大辞典」
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